「田んぼが、大変なことになっている」
千葉県市原市で農業を営む仲間から、そんなSOSが届いたのは突然のことでした。詳しい状況はわからない。でも、あの声の切迫感だけで十分でした。とにかく行かなきゃ。そう思って、僕は現地へ向かいました。
道中で実感した、水の怖さ
現場に着く前から、異変は始まっていました。
向かう道の途中、冠水して動けなくなった車が、何台も何台も取り残されていたのです。ドアの高さまで水に浸かったもの、慌てて乗り捨てられた形跡のあるもの——。ニュースの映像では何度も見てきた光景ですが、自分の目の前に広がると、まるで意味が違いました。
水没した車は、撤去するのも、修理するのも、ものすごく大変だと聞きます。持ち主の方は、これからどれだけの手間とお金と気力を使うんだろう。他人事とは思えませんでした。水の怖さって、こういうことなんだと、ハンドルを握りながら思い知らされました。
現場は、想像を超えていた
そして、田んぼに到着して、言葉を失いました。
すぐ横を流れる川の側面が、まるでナイフでそぎ落としたように、垂直に削られていたのです。人の背丈をゆうに超える高さの土の断面が、むき出しになっている。削られすぎて、川の水がそのまま田んぼへと決壊してしまったような状態でした。えぐられた土肌からは、水を含んだ地層が生々しくのぞいていて、これは、ちょっと尋常じゃない。パッと見ただけで、被害の深刻さが伝わってきました。
しかも問題は、水が入ってきたことだけではありません。排水が通常どおりにできない。水が引かなければ、次の一手が打てない。濁った水がたまったままの田んぼと、仲間の疲れきった表情を見て、農業という仕事が自然とどれだけ真剣に向き合っているかを、改めて感じました。
正直、お願いだから、今週はもう雨が降らないでほしい。心からそう祈りました。
予防の次は、「復旧」と「助け合い」
前回のブログで、僕は「予防の大切さを実感した」と書きました。備えることは、やっぱり何より大事です。
でも今回、現場に立って気づいたのは、その先のこと。予防と同じくらい、「復旧」が重要なんだということでした。そして、その復旧を支えるのは、結局のところ人と人との助け合いなんです。
一人で立ち向かうには、被害が大きすぎる。だからこそ、誰かが手を差し伸べる。ボランティアをどう受け入れるか、その態勢をどう整えるか——こういうことも、これからは真剣に考えていかないといけないな、と思いました。
突然の呼びかけに、10人集まった
今回、本当に胸が熱くなったことがあります。
急な、本当に急な呼びかけだったにもかかわらず、気づけば10人ほどの仲間が集まってくれたのです。予定を空けて、泥だらけになる覚悟で駆けつけてくれた仲間たち。この光景を見たとき、こういう縁って何よりの財産だな、と心から思いました。
こういうつながりを、これからも大切にしていきたい。損得じゃなく、困ったときに顔を出せる関係を。
最後に、今後への教訓
今回の一件は、自然の力の前で人間がどれだけ無力かを突きつけられる経験でした。
台風が2つ同時に発生し、異例の「東から西へ」という進路をとる。そこへ北から冷たい風が流れ込む。こういう条件が重なるときは、本当に注意が必要です。これは、僕自身がこの先ずっと忘れてはいけない教訓にします。
被害にあわれたすべての方が、一日でも早く、いつもの日常を取り戻せますように。

