「後継者は決まった。でも、引き継いだ後に会社をどう伸ばすかは、これからだ」——そんな段階の経営者・後継者の方へ。
事業承継・M&A補助金の事業承継促進枠は、親族や従業員への事業承継をきっかけに、後継者が中心となって取り組む設備投資を支援する制度です。承継を「バトンを渡して終わり」にせず、次の成長の起点にするための補助金と言えます。
ただ、この補助金は「承継すれば誰でももらえる」ものではありません。認定経営革新等支援機関による事業承継計画の確認が必須で、5年間の生産性向上計画も求められます。制度の理解と計画づくりが、採択の分かれ目になります。
千葉県を拠点に、オンラインで全国対応。中小企業診断士が、事業承継計画づくりから採択後の実行支援まで伴走します。
この補助金でできること
事業承継促進枠は、親族内承継・従業員承継の後継者が、引き継いだ経営資源を活かして生産性を高めるための設備投資に使えます。
具体的には、こんな取り組みが対象になります。
- 引き継いだ工場・店舗の設備を新しくして生産効率を上げる
- 後継者の代で新メニュー・新サービスに必要な機械を導入する
- 老朽化した設備を入れ替え、人手不足に対応する
- 承継を機に、店舗の内装・外装を改装して集客力を高める
ポイントは、**「承継予定者(後継者)が主導する取り組み」**であること。先代がやってきたことの延長ではなく、後継者が「これからこう伸ばす」という計画に紐づいた投資が対象です。
補助上限額と補助率
| 項目 | 内容 |
| 補助率 | 小規模事業者等:2/3以内/その他の中小企業者:1/2以内 |
| 補助下限額 | 100万円 |
| 補助上限額 | 800万円(賃上げ要件達成で1,000万円まで) |
| 廃業費(併用時) | +300万円以内 |
※賃上げ要件を満たすと上限が1,000万円に上がりますが、800万円を超える部分の補助率は1/2以内になります。
※「小規模事業者等」とは、製造業その他は従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下(宿泊業・娯楽業は20人以下)の事業者を指します。
※廃業費は「廃業・再チャレンジ枠」と併用申請した場合のみ対象です。
対象になる方
以下をいずれも満たす中小企業者・個人事業主が対象です。
- 親族内承継・従業員承継を予定している(M&Aによる第三者承継はPMI型が対象)
- 後継者(承継予定者)が決まっている(役員・従業員として3年以上の経験、または被承継者の親族 など)
- 対象会社が3期分の決算・申告を完了している(個人事業主は開業から5年経過)
- 公募申請期日から5年以内に事業承継を完了する見込みがある
- 経営権と所有権(株式・持分)のいずれもを先代から後継者へ移す予定である
- 日本国内で事業を営み、地域経済に貢献している
注意すべきポイント: 「代表者を替えるだけ」「株式だけ・経営権だけの移転」は対象になりません。経営権と所有権の両方が後継者に移ることが必須です。この線引きでつまずくケースが多いため、早めの確認をおすすめします。
第三者からのM&A(買収)後の設備投資をお考えの方は、別制度の PMI推進枠(事業統合投資類型) が対象です。
→ 事業承継・M&A補助金(PMI型)の詳細はこちら
使える経費
補助対象は事業費が中心です。主なものは次のとおりです。
| 経費区分 | 内容 |
| 設備費 | 機械装置・工具・器具備品の購入、店舗・事務所の工事(新築・改装・内外装) |
| 産業財産権等関連経費 | 特許・実用新案・意匠・商標の取得に要する弁理士費用 など |
| 謝金 | 専門家(士業・大学教授等)への謝金 |
| 旅費 | 販路開拓等を目的とした出張の交通費・宿泊費 |
| 外注費 | 業務の一部を第三者に外注(請負)する経費 |
| 委託費 | 業務の一部を第三者に委託する経費(事業費の1/2が上限) |
対象にならない主な経費:
- 先代(被承継者)に支払う譲受費用(土地・資産の購入費など)
- パソコン・タブレット・スマホなど汎用性が高いもの
- 中古品、不動産、自動車の購入費
- 消耗品、通信費、光熱費、売上原価・製造原価にあたるもの
- Webサイト制作費・広告費(外注費・委託費のいずれも対象外)
ここが要注意: 「承継=先代の資産を買い取る」というイメージがありますが、先代に支払うお金は原則すべて対象外です。あくまで「後継者が新たに行う設備投資」が補助の対象になります。
採択のポイント
事業承継促進枠で採択されるために、押さえておきたい点を挙げます。
1. 認定経営革新等支援機関の確認が必須
事業承継計画は、認定支援機関が「承継の蓋然性が高い」と確認したものに限られます。締切間際だと確認が間に合わないことがあるため、早めの着手が鉄則です。中小企業診断士は認定支援機関としての確認にも対応できます。
2. 「後継者が主導する成長ストーリー」を描く
審査では、取組の目的・実現可能性・収益性・継続性が見られます。**「なぜ後継者の代でこの投資が必要なのか」**を、承継の文脈と結びつけて語れるかが鍵です。
3. 生産性向上要件(付加価値額 年3%向上)を計画に織り込む
5年間の事業計画で、付加価値額または1人当たり付加価値額の伸び率が年3%以上になる計画が求められます。数字の裏付けを持った計画づくりが必要です。
4. 加点を取りにいく
経営力向上計画の認定、健康経営優良法人、アトツギ甲子園の出場、賃上げ表明など、該当する加点事由があれば漏れなく申請します。
5. 経営権+所有権の移転を計画で明確に
前述のとおり、両方の移転が必須です。いつ・どうやって株式や経営権を移すのかを計画段階で具体化しておくことが、後々の交付取消リスクを避けます。
MQ会計(採算管理)の視点で「その設備投資が本当に付加価値を生むか」まで踏み込んで、机上で終わらない計画づくりをお手伝いします。
よくあるご質問
Q. 後継者はまだ完全には決まっていません。申請できますか?
公募申請時点で「役員・従業員として3年以上の経験がある」または「先代の親族である」など、要件を満たす後継者候補が選定できていることが必要です。まだ検討段階の場合は、承継計画づくりからご相談ください。
Q. 「代表者だけ」息子に替えれば対象になりますか?
なりません。経営権(代表者)と所有権(株式・持分)の両方を後継者に移すことが必須です。株式を先代が持ったまま代表だけ替える、というケースは対象外です。
Q. 承継はまだ先ですが、今から申請できますか?
できます。公募申請期日から5年以内に承継を完了する見込みであれば対象です。逆に、承継予定が5年より先の場合は対象になりません。
Q. 先代の会社の株式を買い取る費用は補助されますか?
されません。先代(被承継者)に支払う費用は原則すべて対象外です。補助されるのは、後継者が新たに行う設備投資などです。
Q. 個人事業主でも使えますか?
使えます。ただし個人事業主の場合、先代と後継者の共同申請が必須になります(後継者が開業前で「中小企業者等」に該当しない可能性があるため)。
まずは無料でご相談ください
準備には、思っている以上に時間がかかります。
「うちは対象になるのか」の確認だけでも構いません。
初回相談は無料・オンライン可・全国対応です。

